WorldShift’12 Vol.3 イベントレポート②

①の続きです。
次に西條剛央さん。

早稲田大学大学院MBA専任講師「ふんばろう東日本支援プロジェクト」代表。
1974年仙台市生まれ。哲学者として「構造構成主義」というメタ理論を提唱。
2011年4月「ふんばろう東日本支援プロジェクト」を立ち上げ、35,000回以上、155,000品目もの物資を3000ケ所以上に届ける。現在は仮設住宅へのPC設置、重機免許取得支援などの自立支援に注力している。著書に「人を助けるすんごい仕組み」(ダイヤモンド社)「忘れない。」(大和書房)など。
WEB:http://fumbaro.org/
Facebookページ:https://www.facebook.com/fumbaro.org
Twitter:@saijotakeo

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西條さんが震災復興に関わろうと思った初めのきっかけは、出身が仙台だからということから。
”何か自分にできることをしたい。”
そう思って、実際に東北に足を運んでみたもの、そこで見た南北400キロの海外線は壊滅状態。それに物資もほとんど届いていない。個人の力では、復興が到底追いつかない。全国の一人ひとりの力を集めて、「大きな力」にするしかないと思い立ちます。

一旦自分のうちに帰ろうとした人たちは波に飲まれて亡くなってしまったため、生き残った人は働いたままの格好で逃げてきた人。だから、持ち物としてはほとんど何も持っていない状態だった。

支援物資や人手が足りなく、なかなか進まない復興に、怒りが湧いていたそう。
それなら全部自分でやってやる
ということで『ふんばろう東日本支援プロジェクト』を立ち上げました。

進めていく上で、各地から集めた物資を一回一回東京で集めてそれを東北に行くということはかなりの非効率。
そこでブログやTwitterを通して何がいくつ足りないのかを書くことを始め、そのまま物資を送れる人には送ってもらうようにしたそうです。(直送のほうが早いため)

送ってもらった人には、何をどのくらい送ったのかをサイトに書き込んでもらうことによって、必要十分な数の支援物資を余すことなく被災地に届けることができる。
つまり、ふんばろう東日本支援プロジェクトでは、ホームページを有効活用することによって、いつでも、どこからでも、誰でも、必要なモノを、必要な分だけ送れる仕組みをつくりました。また、アマゾンの「ほしいものリスト」機能を使って、おなじように欲しい物資を送れるようにもしました。

西條さん曰く、「ボランティア」っていう言葉には、自分を捧げるというイメージがあり、どこかハードルが高い気がしたので、企業の人でもNPOの人でも誰でも入れるようにハードルを下げ、いろんな人の力を借りれるようにました。まずは、ボランティアの数、物資を送ってくれる人の数を増やすために。

最初は2ヶ所だったのが10ヶ所に広がり、1000ヶ所、現在は3000ヶ所にも広がっているそうです。
なぜできたのかというと、『自己増殖モデル』という、勝手に真似してもらい、同じ動き方をする人を勝手に増やすという方法をとったからだそうです。

まずはふんばろうのホームページから一枚のチラシをダウンロードし、物資を届けながら届けたものをふんばろうに連絡。その場所の電話番号を伝えれば、電話を通してほしいものを聞きホームページに載せ、Twitterを使って拡散する。それによって継続的に支援し続けることができるという仕組み。

こういう物資の対応を行政がそれをやってくれればいいんだけど、組織が大きくなればなるほど、失敗したときのダメージが大きくなってしまうため、前例主義が起こり連帯責任性の強くなり、前例があるならいいけど、ないならダメだと決めつけ、新しいアイデアを組織が潰してしまう悪循環が起きてしまいます。

「それをやってうまくいく保障が絶対にあるの?失敗したらどう責任をとるの?」って言われたら、なかなか前に進めなかったり、それらを証明するのに時間がかかったりしてしまう。規則に反するって言うことだから前例がない=ルールを破る、悪いことをするかのように感じてしまう。

おかしいと思っていても、どうしたらいいかわからない。だから希望が持てない。まっとうなことがまっとうにできない。

このままではダメだと思い、
ふんばろう東日本支援プロジェクトでは、西條さんが提唱している構造構成主義を応用してそのエッセンスをちりばめました。

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構造構成主義とは、全てに使える理論。
賛成反対には価値がある。じゃあ価値って…?ってどんどん掘り下げる。
なんでそうなるの?じゃあそうならないためにはどうすれば、どんな方法を使えばいいの?っていうのを考えるための原理が、構造構成主義。

方法の原理とは。
方法っていうのは特定の状況で何らかの目的で達成させるための手段。定義上例外はありません。
だから、どういう方法でしたらいいのかっていうのは、どういう状況でどういう目的で行えばいいのかによります。
つまり、方法の有効性というのは、「状況と目的」に応じて決まります。 例えば、穴が深いという状況があるんだったら、それを掘るためにスコップを使ったらいいし、穴が浅いんだったら、まずはシャベルで周りから削っていくとか。

方法は一般的には、「手順」とともによい方法っていうのを学び覚えていくものと思われがちですが、状況が一気に変わってしまうと、今までやっていた方法は役に立ちません。だからこそ、方法は、状況と目的に応じて考えるべきことなのです。

今の時代は変化のスピードはどんどん早くなり、状況がすぐにかわって、よかったものがよくなくなっていく。これは震災の場合にも言えます。

今まで機能していたものが全く機能しなくなったため、今までやっていた方法ではできない。
なので、ふんばろうでは、目的をぶらさず多くの人に参加してもらえるように「考える枠組み」を与えることを行ってきました。考え方を意識的に実践できるようになると、それに沿って人に伝えられるようになるからです。

ふんばろうの支援の最終目的は、なくなること
公平に配ることは手段であって、目的ではない。
支援は、やりすぎると自立することを阻害してしまうためです。

ぼくたちが考えるべき最終目的は、「幸せに生きること」

資本主義だって結局はひとつの方法でしかない。そのためのツールだということを理解していなければなりません。
民主主義もそう。やっていることは多数決で、多いほうが正当だということになっているけど、正当だという保証はどこにもないです。
どうしたらよいかは、どういう状況で、何をしたいのか(目的)、によって決まってくる。
だから、変なことはできなくなる。

「考え方がかわると行動がかわる。」

方法は定義上無限にあります。
できないということは、つまり本気でやろうとしてないということ。
方法が見つかっていないということは、つまりまだ思いついていないということ。
自分で出来ないのなら、できそうな他の人に考えてもらえばいい。

方法なんていくらでもできるし、考えられる。
1人で考えこむのでもなく、みんなで考えるのもあり。
考え方をしっかり共有して、目的をぶれないようにすることで、状況に応じて行動を柔軟に対応することができるようになるのです。

それをこれからはどんどんしていかなければいけないとおっしゃっていました。

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このあとは、お昼休憩を挟んだ後、ワークショップを行いました。

まず最初に行ったのは、ワールドカフェ。

ワールドカフェ:グループに分かれて、お菓子などを食べながら自由な空間でおしゃべりをすること。落書き、話の脱線は全然OKですが、相手の意見を否定するのは禁止です。

テーマは、「3.11から今までどのように感じ、考え、行動してきましたか?」というもの。
登壇者の2人が東北支援に関する取り組みをしていたために、今までの自分の震災への取り組みを思い出してもらおうと、このようなテーマにしました。


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2回目には、震災という話題に限らず「今自分にできることはなんですか?」というざっくりとしたテーマで話してもらいました。
次にプロアクションカフェというものを行うために、その布石として考えてもらうためです。

プロアクションカフェとは:ワールドカフェの「テーマを参加者が決めるバージョン」のようなものです。先ほど考えてもらった『自分にできること』で出た案など、参加者のみなさんから自分が深めたい話題についてテーマを出してもらいます。話し合ってもらうグループは大体4、5人で行います。

何人かに「こんなことを話したいなー」っていうテーマを挙げてもらい、出てきたテーマの中から参加者の方が自分が話したいと思うところに集まって深めていくという形のワークショップです。

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途中で、話しあう過程でこういう風に考えたらもっといろいろな考えが生まれるんじゃないかということで、西條さんが少しアイデアのふくらませ方を教えてくれました。

考え方が変わると、行動が変わる

「いいのか悪いのか」という価値の基準についての話は、おなんじようなことを話してるようで、全然違う関心ごとがあるのかもしれない。いいか悪いかの前に、関心をもってもらうためにどうすればいいのかという風に収束させていくことが考える上で重要なこと。

これによって、考え方の基盤がつくられるために、それにのっとって考えられ、アイデアが生まれやすくなる。参加者の方もなるほどとうなづきながらそれに沿って話し合っていました。

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このあとは、テーマ案を出してくれた人たちが、前後でどのようなことが変わったか、どんなアイデアが出たかのシェアをしてもらいました。

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何かがきっかけで新しい出会いが生まれ、それが今後につながっていく。
ひとりでは考えられなかったことが、誰かと考えることで、見えてきたりします。そうやって考えた後には、やっぱり「行動」することが大事。行動することで楽しみを見出すことで、それが継続につながってきます。

高田さん、西條さんの素晴らしい生き方に触れ、感じたことも多いはず。
感じたことを生かして、それを次の行動に活かせるようになれば、スタッフ一同感無量です。

今ここからできること。大きいことをいきなりするのは難しい。
小さいことから動いて進んでいけるよう、またWorldShift’12がそのキッカケになれれば嬉しいです。


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